無料読本『簡単にわかる塗装工事』について

3章 なぜ 研究会が発足したの?

この章は、私たち研究会について書かれていますので、お時間がない方は、4章にお進みください。

NPO法人塗装工事研究会賛助会員 (有)佐倉産業のはらです。研究会の生い立ちについて簡単にご紹介したいと思います。

今現在研究会賛助会員として活動していますが、ここまでくるにあたって簡単に、そして順調に来たわけではありません。

わたしは、国立木更津工業高等専門学校(高専)を卒業した後、TOTOに就職してユニットバス設計の仕事に携わりました。しかしたった一ヶ月でやめてしまいました。理由は机に座わりっぱなしが辛かった。そんな簡単な事でした

その後、大手塗装会社(現在は、廃業)にアルバイトとして、営業の仕事をしました。内容は『ピンポ~ン』です。そう、飛び込みの営業マンだったのです。

塗装の知識もないまま言われた地区を『ピンポ~ン 塗装工事しませんか?』と廻っていました。その時は本当に、塗装工事を勧める事は大変すばらしい事だと思い、一生懸命お客さんに営業しました。価格が高い安い・塗料が良い悪いなんて全然知りません。そんな素人でも当時、その営業所では、新人にしては異例の契約を誇っていました。

すべてがうまくいっているそんな時に、ある出来事が・・・。担当していた親方から本当の話を聞いた事です。その内容は、私が良いと思って勧めている塗料は、塗装職人に言わせると駄目な塗料で、しかも工事代は通常の3倍以上というではないですか!(金額でいいますと100万円以上でした。)この話を聞いたときは大変おどろきました。

私は詐欺師だったんだと・・・。

これから、私のすすめで工事をしたお客さんに絶対に会えない・・・。そんな思いになり、早速次の日やめました。3ヶ月の短い期間でしたが、悪徳業者の加担をしました。

次は、このビックリする話を聞かせてくれた親方の所で、塗装職人のアルバイトをさせてもらう事になりました。最初のうちは何をやっても新鮮で面白く、時間を忘れて仕事に没頭しました。塗装職人は自分にとって天職だと思い、親方・塗料屋・メーカーに色々質問をして知識を増しました。

そしてある時、問題が起こりました。それは親方の言っている事と、メーカーが言っている事の食い違いです。親方は材料を伸ばす為にシンナーをたくさん入れていました。メーカーは『規定通りに入れて下さい。』と言っています。親方に聞いてみても『こんなもんだよ。』としか答えません。

そうです!親方は材料を節約して儲けようとしていたのです。他にもおかしな所がたくさんありました。古い塗料を混ぜて使ったり、2回塗ると言って1回にしたりなど、今考えればひどいものでした。ここでまた嘘をつかれ仕事をやるのが嫌になり、やめました。

なら自分で完璧な仕事をしよう!と小さな塗装工事店を始めました。

理想を追求して工事をやっていたのでお客さんからも喜ばれ、自分も納得するという一石二鳥です。新しく始めた小さな塗装工事店は口コミによって、お客さんからお客さんへと紹介されて順調に進みました。

それから、時間が過ぎるにつれて同じ意識を持った職人・親方が集まって来たのです。最初のうちは飲み屋で『あのメーカーは使いやすい。使いにくい。』など、お互いの情報交換だったのですが、日がたつにつれて大げさではありますがこのままでは塗装業界がおかしくなってしまうと考えていました。

このようなことから、『NPO法人(特定非営利活動法人)にして、本当の塗装工事はこうなんだ!と広めよう。』と、 恥かしながら飲み屋の席上で、塗装工事研究会が発足しました。

使命として

【塗装工事を通じて家族の絆を深めよう】

合言葉として

【いい塗料 いい仕様 いい職人】

と掲げました。今でも、同じ志で活動しています。

 

ここからは、研究会会長 森が、お話しします。

なぜ、私が会長になったのか?をお話したいのですがその前に、リフォーム工事の中で、一番不透明な工事は何かご存知ですか?

残念ですが・・・それは、塗装工事です。

一般の消費者の方に、おなじみの塗装工事ですが実は一番 疑問・不安が多い工事なのです。

私は、約50年間もの月日を塗料・塗装と共に、歩んできました。まさしく、塗装人生と言っても過言ではないと確信しています。また、体の自由がきくならば、一生かかわって行きたいと思っているほどです。

何故私がこの研究会に携わったのか、簡単な経緯を説明します。私事でありますが、お付き合い下さい。

私は、昭和12年3月21日(春分の日)に生まれ、三重県松阪市の出身です。
両親は教職員、祖父は神主で、当時としては珍しい一人っ子として生まれました。
両親が学校に勤めていた為、おばあさんに育てられ寝るのもおばあさんと一緒というおばあさんっ子でした。

周囲は稔り豊な田園広がる伊勢の穀倉地帯で、魚とり、昆虫採集、村中を舞台にかくれんぼ、田んぼでは石合戦等をして頭に大きなタンこぶをこしらえたり、夏にはうっそうとした村の鎮等の杜での度胸試し等と、伸び伸びとした生活環境で幼年時代を過ごしました。

高校は、松坂肉で有名な松阪市にある県立松坂高校を卒業し、昭和34年立教大学経済学部を卒業しました。

大学卒業後、大手総合塗料メーカーに入社、約30年間一貫して建築塗料の新市場創造を目指した営業開発業務を行いました。

建築工法の多様化により外壁塗装は、ただ単に色付けの塗装でなく、雨漏りを防ぐ塗膜防水という考え方に変化したのを機に、外壁塗料専門メーカーに転籍し新市場創造の開発業務を行ってきました。

その後、塗替工事の実態を工事会社の立場で経験する為に、都内大手塗装工事店にて勤務、主に分譲マンションの大規模改修工事を担当しました。

平成十一年に電材・建材の某大手総合メーカーが紫外線で汚れを分解し、その分解された汚れを雨で流す塗料「光触媒コーティング材」を発売した際に、コンサルタントとしてその普及に係わり、現在は、その技術を活かした普及推進業務に携わっていますので、今現在 研究会との2足のわらじを履いています。

塗装人生を歩んできた私ですが、次のような事にいつも疑問を感じておりました。

◎本当のお客とは?・・・

塗料メーカー勤務時代には、塗装のクレーム処理では大変貴重な経験を数多くしました。クレームの原因は、色々ありますが主な例を挙げますと、

  • 塗料そのもの品質問題
  • 職人の手抜きの問題

と、大きく2つの要因が考えられます。(実際には、たくさんあります。)

ここでは、塗料そのものの品質問題と、職人の手抜きの問題を取り上げます。

塗料そのものの品質問題の時には、品質向上の努力をしました。
しかし、職人の手抜きの場合には、努力をしてもうまくいかない場合ばかりでした。

今だからはっきり言えますが、手抜きをした塗装工事店は塗料メーカーにとっては、塗料を買って頂くお得意様なのです。塗料メーカーに勤めていましたから、一般消費者の方がお客さんではなく塗装工事店がお客さまなのです。

手抜きが原因のクレームでも『手抜きが原因です』とは、一般の消費者の方にお答え出来ないのです。それをもし『職人の手抜きが原因です』と伝えた場合、どうなるでしょうか?

とんでもないことになります。私はお客さんを、そして、塗装工事店もお客さんを・・・お互いにお客さんを失ってしまいます。(お互いにお客さんが違いますが・・・)

クレームが発生した場合、職人の手抜きをきちんと認めてくれる良心的な塗装工事店は、自らの非を認めて塗り直しをします。これが本来の対応です。

しかし中には、『メーカーの立場で勝手な事を! 塗替えの手間代を負担しないのなら、塗料代は支払わない。しかも、今後一切塗料を買わない!』とか、『塗料が悪いからだ!こんな品質の悪い塗料なんか売りやがって!』など、言いたい放題の塗装工事店もいます。

私の人間性まで批判されたことも、一回二回ではありません。わたしは本当に、悩み苦しみました。どちらにも都合の良い答え そして曖昧な答えでお茶を濁します。

家庭を守る為、会社を守る為・・・

あの時言えませんでしたが、今なら正直に言えます。

塗料メーカーが悪いときもあれば、塗装工事店が悪い場合もある。
お互い保身の為に、都合の良く話を作り上げていました。
今までの話は、塗料メーカー・塗装工事店にとってみれば腫れ物に触るような事になります。が、関係者の名誉の為に一言付け加えておきます。

この様なケースが常時ある訳ではありません。クレームがメーカーに持込まれる前に、ほとんどは塗装工事店が解決しています。塗装工事店が自分の施工が原因と思っていれば黙って自ら手直しをします。また、材料が原因の場合はメーカーもきちんと対応しています。

このように、板ばさみになりながらも、私は塗料・塗装業界で働いていました。

◎研究会との衝撃的な出合い・・・

平成15年末に情報紙の主宰者より「佐倉市でNPO法人塗装工事研究会を立ち上げた塗装工事店がある。」と、いう話でした。塗装分野の様な特異な分野で、かつ業界初の塗装のNPO法人が認可された事に非常に興味を抱き事務所を訪ねたのが、会長を引受ける最初のきっかけです。

私が、研究会を立ち上げたのですねと聞かれますが、違います。研究会を立ち上げたわけではないのです。今まで塗装人生を歩んできて、どこか物足りないどこか心に引っかかる事が、この研究会にあったのです。まさに、私の求めていた会そのものだったのです。

偶然というか必然というか、今はただその巡り合い感謝しております。研究会で聞いた内容は、私が想像していた事をはるかに越えるものでした。

  • 暴力事件等でよく塗装工が取り上げられ 世間の評価が低い事。
  • 悪徳リフォーム特集に 塗装が取り上げられる現実。

そのような時代背景の中、

  • 一般の消費者へ、塗料・塗装の正しい理解。
  • 手抜き・ぼったぐりの排除。
  • 適材適所の塗装仕様や適正価格の見直し。

など、消費者の為になる啓蒙活動を行い 結果として消費者の信頼を得て、塗装職人の評価アップにつながる事を目的に活動していると、いった内容でした。しかも、消費者が塗装について安心して相談できる消費者センター的な役割をしていきたいという、熱い想いが語られていました。

気がつくと私は、時間が許す限り研究会の勉強会、打ち合わせなどに参加していくようになりました。私も前述の様に、クレーム処理の際に本当の事が言えず内心ジクジクした思いを抱いた経験もあり今や、年齢も重ね仕事の上でも誰にも遠慮しないで本当の事を伝えられる立場であり、自分の経験知識が少しでも役立つならとの思いで会長を引受けた次第です。

研究会の会長に就任したのが、平成16年1月1日からですのでかれこれ数年になります。メーカー時代には、なかなかわかりにくかった塗装店の苦労、生き様、喜びなどに触れる事ができ、また一般消費者の生の声、手抜き工事の実態を目にする事ができ、大変貴重な経験をしています。

現在では、昔のように家族間の会話の少なくなったようです。現代の家庭環境もめまぐるしく変わりました。これらを踏まえて私たちは、

『塗装工事を通じて家族の絆を深めよう』を使命とし、

『いい塗料・いい仕様・いい職人』を合言葉に、

千葉の佐倉と言う片隅で生まれた試みとなります。『西の長崎、東の佐倉』と言われる進取の気質に富んだ土地からの発進になります。

大切な財産であるお住まいを塗装工事で失敗しないよう、是非とも私たち研究会の資料を参考にして、大切なお住まいをお守り下さい。

以上ですが、私森の自己紹介と、研究会の簡単な説明をしました。

研究会が発足直後は、いろいろ問題が発生し戸惑いもありましたが、現在では毎日が充実して、納得出来る活動をしています。

ぜひ、塗装工事で失敗しないように知識をつけて、大切な家を守って下さい。


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各種リフォームの中でも特に塗装工事はわかりにくいと言われています。
私たちは、「いい塗料・いい仕様・いい職人」を合言葉に外壁塗装工事に関する情報を提供しています。小さなことでも結構です。お気軽にご相談、お問い合わせください。

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